divadlo

舞台

旅日記:にしすがも創造舎、KAAT

先週、諸々用があって、東京へ。弾丸旅だったので各方面の方々に大変お世話になりました。ありがとうございました。
お礼と記録の意味もこめて、残しておこうと思います。

まずはにしすがも創造舎へ。ここで育ててもらったと言える、大切な場所。廃校を転用した稽古場施設。近隣の中学校の立て替えに伴って、仮校舎として再び利用されるとのこと。7月で事務所は引っ越しちゃうし、12月には完全に撤退すると聞いて、閉まる前にどうしても想くんを校庭のカモで遊ばせたかったので。

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こどもに見せたい舞台シリーズでお世話になった場所ですが、ここでたくさんの出逢いと経験と、示唆と・・・語り尽くせない程多くのものをもらいました。と、私個人でもこんなに感謝している場所の軌跡をきっちり文章にしてくれているサイトがシェアされていたので、
詳細はこちらをごらんください。

fringe.jp--東京のアーツセンターにしすがも創造舎

フィナーレに向けて、7月にはイベントも予定されているようです。もちろんこどもに見せたい舞台も。

としまアート夏祭り

そして一緒ににしすがもでお芝居を作っていた方々はたちかわ創造舎という新しい本拠地へ、と。立川へは翌日伺ったので、この詳細はまた後ほど。

きっとしばらくにしすがもに来る事もないので、懐かしの中華屋へ。潰れてなかった。でも、当時のマスターはやっぱり居なかった。

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人は変わってもサービスしすぎなところは変わらず。想くんが愛想を振りまいた、という理由でデザートにキウイを出してくれた。
この店に想くんがいる、という不思議よ。。。
と、おセンチな気持ちになっている間に、私、重大なミスを犯しまして。
この後、西巣鴨からはるばる横浜KAATへ、私的にはこの旅一番の目的である舞台を見に行く予定だったのですが・・・。

ザ・開演時間を間違える。

何百本、いや、千本?数えた事無いけど、まあそれはそれなりに観て来ているのだけど、多分初めて。

江戸糸あやつり人形の一糸座さんの公演。な、なんとわれらが林由未さん(人形作家)が人形制作&その他諸々(それはもう膨大な仕事で語り尽くせない)で、そして、なんとなんとなんと、私が在チェコ時に作品制作した際に演出してくださった、ゾヤ・ミコトバーさんが部分演出、出演、というアンビリーバボな作品「ゴーレム」。随分前から企画が進んでいたような気がする。途中、ゾヤさんが絡む、来日する、と聞いてからはもうこの為に必ず行こうと決めていた作品。観劇中はゆみさんが想くんの面倒まで見てくれることになっていたのに。開場前でゆみさんは待ちぼうけ。開演時間過ぎても来ない私に電話したところ、ぼんやり電車に乗っているという悲劇。慌てた元町中華街の駅では真反対の出口に出るという失態。おかげで15分程、走る。2歳のこどもとスーツケースを引っ張って、走る。途中、ちょっと泣く。でも、想くんを抱えて走る圭くんの背中は触れると切れるナイフそのもので、何も言えなくて夏。。。
最近こういう事が多い。歳のせいにはしたくないけど、気をつけます。

という事件のせいで、観劇は翌日に私だけがすることに。一糸座さん、その他関係者の皆様には誠に申し訳ないかぎりですごめんなさい。
とはいえ、ゾヤさんとは終演後に感動の再会(見てないのに)。
その後、ゆみさんちの車で送迎までしてもらって(見てないのに)。
ゾヤさん達とごちそうまでしてもらって(見てないのに)。
たくさんおみやげをもらって、ホテルまで送ってもらって(見てないのにああ、見てないのに。)

もらってばかりの人生から、いつか卒業したいと思った横浜のホテルの夜。

続きはまた後日。

すんぷちょ、オイリーカート、ちいさなうみ

昨日13日から始まった、枝光まちなか芸術祭2017。
すんぷちょさんの「ちいさなうみ」は製作段階からFBで拝見していて、見たくてたまらない演目だった。
上演を見ることはできないけど、レポートが聞けるとあって、こどもたちを預けてひとり、枝光へ。

ちいさなうみ

オイリーカートのワークショップからちょうど1年。まさか北九州でこんなにオイリーカートの話を聞くことになるとは!
オイリーカートは30年余の歴史を持つ、幼児からさまざまな障碍を持つこどもたちを含む、すべてのこどもたちのために舞台作品を作ってきたイギリスの劇団。昨年、インクルーシブシアターワークショップを東京と仙台で開催し、私は東京のワークショップに参加したのです。
あまりに劇的な出会いなので、ここで語るのは割愛して、詳細はこちらの記事をご覧ください。

オイリーカートWS

仙台で活動していらっしゃるすんぷちょさん。以前から度々枝光にはいらしていたのに、なかなかタイミングが合わず、まだ拝見できてなくて、
お話をきいてさらに「ああ、見とけばよかった!」とじりじりするほど、面白そうな活動をしてた。
作品の構成や俳優の選び方、楽器の選択、オブジェクトの選択。。。ただワークショップを開催して、受けて、はい、終了ではなくて、ワークショップののちに、そのノウハウやこれまでの経験を元にひとつの作品を作り上げるところまで持っていけてることにとても感動した。
ダイジェストや、片鱗しか見られなかったけど、確実にオイリーカートのエッセンスを吸収し、すんぷちょらしく新たに生み出された作品のように感じた。また、ソーシャルストーリーや、事前の保護者との打ち合わせなど、作品製作以外の部分のノウハウもきっちり受け継いでいて、完璧だった。それもこれも、やはり、すんぷちょさんのこれまでの活動があってこその、その応用力だな、と思った。出会うべくして出会った、という感じ。
そしてやはりちゃんとマジカルな瞬間は生まれていたようで。参加者の少年たちの様子を追った映像を見せていただいたのだが、、、これがまた感動的だった。ひとりの少年は、劇場に足を踏み入れたこともなく、日頃は家でDVDを見たり、ドライブに行くことが楽しみ。そんな少年が舞台作品を鑑賞できるだろうか、と、親御さんは打ち合わせの段階からかなり心配していたようだった。当日も緊張のせいか、劇場には入れず、駐車場の車の中にいた。俳優が遠くから踊ってみたり、親御さんが小道具を車の中に持って行って触らせたり。少しずつ距離を縮めて、最後には劇場の入り口付近でネームソングを迎え、名前を呼ばれて手を振っていた。胸が熱くなる瞬間だった。
演劇というコミュニケーションは、この手触りは、他のどの芸術にも置き換えられない。

自分にできることがまだまだたくさんあるなぁ、と。まだやってないことがこんなにある!とあちこちつつかれて、ドキドキした。未来の可能性にこんなにわくわくできて、気持ちの良い帰り道だった。

が。
0歳も3歳も、こどもたちはちょっと寂しかったようで、マンションの下で私の車を待ってると言われてぶっ飛ばして帰りました。
0歳の方はその後から今に至るまで、ギャンです、はい。

枝光まちなか芸術祭2017
今年もとっても面白そう。太めさん、見たい。今年こそ、見たい。。。行けるのか、私。がんばれ、0歳。。。

たちかわ創造舎、ぷれいご、ゴーレム

さて、先日の東京についての、つづき。

前日の私の大失態を受け、急遽スケジュールを調整し、方々に謝りながら好き放題させていただいた、二日目。

まず、ひとつめの好き放題は立川駅で倉迫さんに会う、でした。ほんの少しの時間でしたが。
倉迫さんはこれからうかがうたちかわ創造舎
のチーフディレクターで、たちかわ創造舎を拠点に活動する劇団Theare Ort(シアター・オルト)の演出家。こどもに見せたい舞台シリーズでお世話になった方。
忙しい人をこちらの都合で呼びつけて、隙間をぬって、でも一番話したかったことのさわりだけでも話せて、なぜだか少しホッとした。
自分よりも少し歳上で、同じ演劇という世界から重なる世界を見て、突っ走っている先輩に恵まれている、と常々思います。
場所が遠く離れても、同じ世界を、近い立ち位置から見ている。私はまだまだ全然ですが、彼が今挑んでいる現場は相当に面白いことになっています。たちかわ創造舎。その現場を見たいが為に、駅で倉迫さんと別れ、想くんと重いスーツケースを圭くんにぶん投げて、ひとりでたちかわ創造舎へ向いました。いやあ、圭くん、男前!!

創造舎へ着いて、まずは、これも直前にわがままを言ったにもかかわらず、快く見学させてくださった、ぷれいごを見に。
このぷれいご、たちかわ創造舎のプロジェクトパートナーであるMY COMPLEXが展開している、”英語コンプレックスを遊びながらなくす”英語と演劇の複合ワークショップ。
日本は生活の中で英語が全く必要ない国なので、我々の英語コンプレックスは本当に深刻な問題だなぁといつも思います。特におとなの方が根強い拒否感がある気がします。でも英語が必要ない、というのは少しでも世界に目を向けてみると全く通じない嘘だとすぐ分かるわけで。ネットで情報収集すると英語さえわかれば集められる情報量の違いに驚きます。そもそも他国の言語を習得する、ということは異国の文化に対する敬意や興味、未知のものに対する興味にも通じているし、それを拒否してしまうのはとても残念なことだと思うのですが。。。せめて、大人の英語に対する拒否感をこどもには受け継がせたくないな、と。どうにか取り組みたい課題だなあと思っていたので、ぷれいごの活動を見つけた時にとても刺激を受けて、いつか参加したいと思っていたのです。

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簡単な近況報告を経て、教材であるテキストに入って行く。テキストはこの講座の為にオリジナルで書き下ろされた台本で、なんと不条理劇だった。ゴドーにちょっと似ている感じ。短いフレーズでやりとりしながら会話を構築していく感じで、回数を重ねた今回は既に立ち稽古に入っていた。なるほど〜!不条理って、この講座にすごくマッチする気がして思わず何度も唸ってしまいました。まずフレーズが短いので、誰に向けて放った一言なのかを明確にしないといけないし、発言ごとに状況が変わったり、意味が変わったり、新たな展開をしたりするので、その意図を伝えないといけない。いや〜、おもしろい!とおもって終わったあと、その感想を伝えたら特に不条理にこだわってるわけではないとのことでした(笑)。ならば他の台本でやってるのもいつか見てみたい、参加してみたい、と心から思いました。
そしてこのブログを書いている今日 6/25(土)がこの不条理劇の発表会だそうです。13時から!ああ、もっと早くお知らせしとけばよかった!

MY COMPLEXさんは2014年からエディンバラのフリンジに参加しているそうで、今年も参加されるそうです。1ヶ月近くの長丁場。ご活躍を期待しています。無理なお願いを聞いてくださってありがとうございました。

さてその後、たちかわ創造舎で懐かしい方々との再会を果たして、ご案内までしていただいて。。。
プロの自転車のレーシングチームが入っているらしく、サイクルロードも近くにあって土曜日のその日は自転車がたくさん行き交っていたり。校庭でドローンを飛ばしてたり!そしてその時は知らなかったのですが、最近私が密かに激しく興味を寄せていた恐竜くんもプロジェクトパートナーだったり!アート、演劇だけにとどまらない活動がのどかに集合していて、とても興味深い施設でした。

そしてこれもやられた!感満載ですが、放課後シアターというのが始まったようです。
すべての場は劇場になりうる。生活の中で、演劇を気軽に楽しんでもらえたらという思いは非常に共感します。
29日(水)16:30から、ヴェニスの商人を上演するようです。是非に!

以前、一緒に芝居を作っていた友人が案内してくれましたが、何を話したわけでもないのに彼女の姿勢からもとても元気と勇気をもらいました。本当にありがとう。

さて、そこから。件のKAATへ。ゴーレムを見に。
特等席で、素晴らしい作品を見せていただきました。ゾヤさんも部分演出で関わる、と聞いてはいたものの。部分演出って、何?そんな手段をゾヤさんがとるだろうか、というのが一番の疑問でした。そして結果、ゾヤさん始め、チェコで人形劇を演劇をつくって来た方々が血となり、肉となり、天野天街さんという魔法使いの手を経て、一糸座さんと融合する様を見せていただいた。一番良い形で融合したのではないか、と思いました。そして、林 由未さん。本人にも何度も言ったけど、すごい仕事をやってのけたなぁと思いました。この作品にはあの世界観の、彼女の作品たちが必要だったと。そしてその人形達があの作品そのものの世界観を形作っていて、もう演劇作品そのものがゴーレムになってしまった、という果てしない気持ちにさせられました。途中で何度も目眩がして、良い意味で胸がつぶれるような気持ちになりました。素晴らしかった。少し遅いですが、本当にお疲れさまでした。


てぶくろ@東谷らんらんランド ’17/11

11/28に「ちいさなおしばい うごくえほん〜さわって、きいて、みてみよう〜」を開催しました。
0,1,2歳に向けたイベントは初めてだったのでとても刺激的な、貴重な体験になりました。
私自身、小さな子どもと日々向き合う生活をしていることもあり、また、昨年のオイリーカートやベビードラマの体験もあいまって、
自分にとってもチャレンジできる場でした。

からだのじかん。自分の体にタッチ!ほっぺにタッチ!
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そざいのじかん。
ユリ・シュルヴィッツの「ゆき」を読んで、素材でイメージを膨らませて遊んでみよう!
この不織布をこの後のプログラムでも使い倒す予定が・・・都合上できず。無念。
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ひかりとかげのじかん。
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人形劇「てぶくろ」の上演。
未満児が対象だったので、ほぼ語りに近い形でシンプルに上演しました。
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話題の影絵。暗いと写真がなかなか撮れません。。。あと、暗いとベビーは基本、泣く。
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終演後はいつものにんぎょうたちとはいチーズ!
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0、1、2歳だけの場、というのは考えてみれば初めてだったので、こんなにも違うものかと感じました。
これは・・・おもしろい!
これまで3歳未満の子たちが以上児と一緒に居る場でお芝居をやったり一緒に遊んだりする機会が多かったのだけど、いかに未満児たちに目が行っていなかったのかがよくわかった。彼らこそまさにフリーダム。彼らには彼らの為の作品が必要だなと実感した。そしてそれはとても直感的で、よりアーティスティックなものになりそうな予感がした。
正直、今回私が未満児を意識して準備していったものはほとんどと言って良いほど彼らの生々しい感覚には遠く及ばず、だった気がする。

是非またやりたい! 0、1、2歳!!ベビー専用のえんげきあそびもおもしろそうだな。また会えますように!!!

みんなの学校

先日、「みんなの学校」を見てきた。
昨年、東京近郊に住む友人達が軒並み見ていたドキュメンタリー。公式サイトやトレイラーを見るだけでも大変興味深く、福岡に来てくれるのを心待ちにしていた。

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とある小学校のケースが描かれているのではなく、今私たちが生きているこの社会全体のことが描かれているように感じた。自分ではない他人、自分とは違う他人と、どうやって一緒に生きて行くのか。きっとこどもたちにその方法を示すことは、どんな大人にとってもとても難しいことだと思う。だけど、そもそも正解や正しい手順なんてものはなく、一緒に悩み、考えて、寄り添っていくことなんだな、と痛感した。この映画に出てきた先生方も、経験を積みながら手探りでこどもたちに寄り添ってきたことがひしひしと伝わってきた。そしてその蓄積が若い先生方に手渡されている瞬間が何度も見えた。
もうこれからの時代って、他者とともに生きる、ていうことからは逃れられない社会になって行くことは明らか。高齢化はどんどん進む。社会を支える年齢層は徐々に減る。困っている人はきっと増える一方で、それを個人が背負って行く構造はすぐに限界がくる。一部の豊かなひとはそれを他人事だと言えるのかもしれないけど、もうそういう世の中では、そういう時代ではなくなっているんじゃないでしょうか、既に。
私は私のこどもたちにどんな蓄積を手渡すのか。どんなものの見方を、どんな価値観を、どんな社会を手渡すのか。それは、毎日子どもたちとどんな時間をすごし、どんな言葉をかけるか。この一瞬一瞬の選択だな、と。

この映画を観た朝も、イヤイヤかんしゃくまっさかりのこどもを理不尽に叱りつけてしまって、映画の中で校長先生が新任の先生が私と同様にこどもを怒鳴り散らしているのを見て「クビ!」と言い放った瞬間は、本当にああ、私、母親クビだなぁ、と心底反省しました。ええ、先は長いですが、一瞬一瞬を大切に、一緒に成長していこう、大丈夫!と、強く背中を押してくれる映画でした。

素晴らしかったです。

Divadlo501 New performance “The mitten”

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新作人形劇のお知らせです。
12/17に宗像市で「てぶくろ」の英語版"The mitten"と「赤ずきん」の英語版"The Little Red Ridinghood"を上演します。
"The mitten"は先日のらんらんランドで一度baby versionと称して上演しましたが、内容も少し違う形になりそうです。
美術はいつもお世話になっています林由未さんにお願いしました。考えてみたら作品を一緒に作るのはすごく久しぶりでした。超多忙なスケジュールをがん無視して無理をさせてしまいました。でもおかげさまで良い作品になりそうです。
"The Little Red Ridinghood"は「あかずきん」としてこれまで二人体制で上演してきたものを私一人で、英語で上演できるように作り直しました。これも美術は林さんです。
ふたつとも、ある意味初演です。
ひゃー!楽しみです。

尚、今回は一般入場は受け付けておりません。
3月くらいにみなさんに見ていただける機会を設けようかと考えています。詳細はまた後日お知らせします。

あかずきん@戸畑こどもと母の図書館:ありがとうございました

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8/27(土)、戸畑こどもと母のとしょかんで「あかずきん」を上演させていただきました。
ご来場くださった皆様、ありがとうございました!
予想を遥かに超える数のお客様にお越し頂き、毎月恒例のえいごのおはなし会を楽しみにしていらっしゃった方々にはとてもご迷惑をおかけしてしまったように思います。また、見えづらいことも多々あったかもしれません。なにより少し前倒しで上演を始めてしまったことでご迷惑をおかけした方がいないか・・・少し心配ではありますが、お芝居が始まってすぐ、あんなにちいさな子どもたちが、ぐぐぐっと音をたてて世界に突入して行く様は、何度思い出してもぞくぞくする、最高にしあわせな時間でした。

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今回は未就学児率の高いお客さまでしたが、その集中力と反応の良さったら!
シンプルな人形のシンプルな動き、シンプルな場面展開と繰り返しはまさに彼らにぴったりな感じで、どんどん場が盛り上がって行ったように思います。

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上演後はやはり人形を触ってみようの時間を設けましたが、こんなに小さなお客様がよちよちわらわら集まってきた光景も胸きゅんでした。
そしてこのこけし人形の魅力をこの小さなお客様方に改めて教えてもらったのですが、とにかくとんとん鳴らしたいらしい。初めこの人形を美術家から受け取った時に、手足の無いこのこけしをどうやって操れというのか、表現、表情をつける術がないように感じてうちひしがれた瞬間がありましたが、いやなんと。自然と編み出されたその操演法が、こんな小さな子のこころをワシ掴みにしている光景を見て、人形劇って深い!と今更ながら思いました。ほんと、今更。

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そしてなにより今回私を心から楽しませてくれたのは、つかのみきさんでした。
当初、私一人で上演する予定でしたが、おはなししているうちにあれよあれよと話が繋がって、稽古まで付き合ってくれて、すっかりコラボ作品になりました。
北九州で舞台活動を続けて居る方々はたくさんいるのですが、なかなか繋がる機会が無かった私ですが、今回初めてこういう形で一緒に何かを作れたことは本当に嬉しいことでした。やっぱり人を知るには、一緒に演劇しないとわかんないな、と勝手に思いました。私にとって演劇って、人を知る道具だ、と。
何を言っても受けとめてくれて心から感謝します。のびのびできました。ありがとうございました!

図書館という誰でも入れる場所で、演劇に触れる機会が少ない人もそうでない人も、劇場に行けない人もそうでない人も、0歳でも、子連れでも、お金なくても、見られる「演劇」だといいなあと思いました。その為にはまずは創る側の精進が大事ですね。今後も引き続き精進します。
「図書館」という場所は現実と夢の出入り口のようで、演劇するにはぴったりの場所だと思いました。特に戸畑こどもと母の図書館は、希有な場所だと思いました。こじんまりした落ち着いた、懐かしい雰囲気。話しやすい司書さん。大きな図書館も重要ですが、小さな図書館がたくさん点在している方が良いと思いますが、北九州市は真逆の方針らしいですね。どうなるかな。

さて、実はこの図書館での上演の後、つかのさんのご紹介で絶賛キッズキャンプ中のアイアンシアターでも上演させて頂きました。そのお話はまた明日。

ひとまず、ありがとうございました!

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終了しました:The mitten, The Red Ridinghood,てぶくろ

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12/17に宗像市にて新作人形劇"The mitten"と"The Red Ridinghood"の上演をさせていただきました。
"The mitten"は先月のプレ上演からかなり演出を加えての上演になり、全編英語でお届けしました。言葉数をなるべく少なくし、シンプルな繰り返しのお話しの醍醐味を楽しんでもらえたらと思い、製作しました。日本語より英語のほうがぴったりくる感じになりました。
"The Red Ridinghood"はこれまで二人体制で上演してきたものを一人で上演できるように作り直して、さらにこちらも全編英語に直しました。
こちらは既存の台本がかなり喋る台本だったので単純に英語に直すだけだとおもしろく見えるのか不安な側面もありましたが、最終的には違和感もなく仕上がりました。既存の作品にしろ、新作にしろ、母国語でない言葉で台本を整理していく作業は、実はとても面白い作業です。音楽や動きと同じく、セリフもその作品を構成する記号のひとつなので、削いで削いで、いや付け足して、という作業は目に見えない彫刻を作っているような感覚で・・・その繊細さはお客様には関係ないと言ってしまえば関係ない、でも実は一番大切なんじゃないかとも思える作業でした。
宗像のお客様は上品で暖かく、終演後も人形たちと触れ合ったり、てぶくろに入ってみたり。楽しんでいただけたようで、本当に良かったです。

12/25はいつもえんげきあそびでお世話になっている旭ヶ丘保育園で「てぶくろ」日本語版の上演でした。
こどもたちにとっては、生活発表会で上演する「てぶくろ」。今日はたにやん、それひとりで演るよ!と始めさせてもらいました。
いつものえんげきあそびの延長のような空気だったので、こどもたちの緊張感はまるでなく。良い意味で最高にリラックスした状態で見てくれました。
あまりに心の距離感が近すぎて、私のほうがペースを乱す場面もありました。勉強になりました(汗)。

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てぶくろはまだ生まれたばかりの作品です。たくさんの人に愛される作品に育てていきたいと思います。

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旭ヶ丘キッズにクリスマスプレゼント。いつも舞台美術でお世話になっている林由未さんが福音館から絵本を出しました!!
しかも付録であやつりにんぎょうが作れるという!!3月のえんげきあそびの教材として使うので、フライングで絵本だけプレゼントです。

これで、2017年のDivadlo501の上演は終了です。今年は出産もあったので、ぼちぼちマイペースでしたが、おかげさまで充実した1年になりました。
特に妊娠中、出産前後などの私の都合やわがままに付き合ってくださった共演者やご協力いただいた方々には感謝しかありません。本当にお世話になりました。まだ然くんも4ヶ月なので、引き続きぼちぼちでしか動けませんが、ゆっくりゆっくり歩んでいこうと思います。
皆様良いお年を!
来年もよろしくお願いします。

国際姉妹都市祭in京都駅ビル2016

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直前の告知になってしまいました。9月25日に京都で人形劇パフォーマンスを上演します。
いつも強力タッグを組ませて頂いている人形作家の林由未さんをなんと舞台に押し上げて!満を持して!むしろ彼女を中心とした人形劇の世界を構築しています。関西方面の皆様にお会い出来るのを楽しみにしつつ、現在モーレツに準備中です。

公式サイト→国際姉妹都市祭in京都駅ビル


●○● 国際姉妹都市祭 in 京都駅ビル ●○●
ー京都・プラハ姉妹都市提携20周年事業ー

■チェコ カルチャーパーク 9/25(日) 13:00-17:30
 京都駅ビル 駅前広場 (ホテルグランヴィア京都南)
 ◎ナビゲーター:講談師 旭堂南陽
 ◎出演:
  *チェコ人形劇
   林 由未(人形作家) / 谷口 直子(人形劇役者)
  *ストリート・ライブ Street Live
   かとうかなこ (アコーディオン)
   岡崎泰正(ギター) / 田中良太(パーカッション)
  *大道芸
   ミスター・ハム
  *チェコアニメ上映会
   アマールカシリーズ「森番をやっつけた日」 
   もぐらのクルテク 「もぐらくんとどうぶつえん」
   シュヴェイクが行く!「列車騒動をおさめろ」
   ぼくらとあそぼう!「さかなのおはなし」 他
【お問合せ】
京都駅ビルインフォメーション 075-361-4401(10:00-19:00)

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baby theatre,Dalija Acin Thelander WS_参加記録

寒中見舞い申し上げます。昨年はマイペースながらも充実した活動をさせていただきました。お世話になったみなさま、ありがとうございました。
今年は昨年に引き続き幼稚園、保育園での出張上演やえんげきあそびとともに、501FURNITUREの店舗でも上演をしていきたいなと考えています。
また、秋にちょっと大きな企画も計画しているのでまた少しずつお知らせしていけたらと思います。

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さて、新年早々ベイビーシアターのWS参加の為に、然くんだけを連れて上京してきました。
ベイビーシアターについては昨年のちょうど今頃、つわりでグロッキーになりながらジャッキー・E・チャンさんのレクチャーを受けに福岡市まで行ったことがありました。ジャッキーさんのお話は脳科学的なアプローチも多く、アカデミックな印象で、本当に大きな刺激を受けることができました。今回講師をしていたダリアさんからはより実践的なお話を聞かせていただいた気がします。本当に多くの気づきとひらめきをもらえました。自分の仕事を通して実現できることがちりばめられた話だったので、咀嚼して、トライしていこうと思いました。

1日目はダリアさんの創作についての話もしつつ、乳幼児の発達段階についての基本的な話や、参考文献についての解説も織り交ぜながら、乳幼児のための舞台芸術が彼らの発達においてどんな影響を与えうるのかについて。
2日目はダリアさんの演出作品を例に、音楽や美術についてのお話や、具体的に会場で起こった事例などを元に観客との関わりについてのお話なども。多岐にわたるトピックをかなり詳細に話してくれたので、ヒントになるキーワードが散りばめられたお話でした。

オイリーカートが実践する障害を持つこどもたちの為の多感覚演劇とも、共通項は多いものの、別物だなと感じました。ベイビーシアターはよりインタラクティブな要素が強い印象。観客が入って初めて成立する部分が多い。ドラマトゥルグも必要ない、とまで言い切っていたのはとても印象的だった。観客(ベイビー)と演者の境を取り払っていく作業。その為に演者に求められる知識と感覚。自分の作劇に立ち返って、聞いてきた話を反芻すると、目が冴えて全く眠れなくなるほどでした。

演劇が教育的であることに対しては反対の立場であると言っていたのが意外に感じた。演劇は教育以上のものであるという考えだから、ということだったけど、その場でいう「教育」の定義が曖昧だったので、しばらく考えてしまった。なぜなら、提示してくれた様々な参考文献や、ダリアさんが感じていることはモンテッソーリやレッジョなどの幼児教育で言われていることと重なることが非常に多かったから。こどもの発達段階に対して慎重に注意を払う、ていう意味ではそれが教育だろうが演劇だろうが、掲げる看板の違いだけのようにも思えた。しかし「アーティストの直感を大切に」「アーティストとしてこどもたちとどう出会うか、どう向き合うか」や、イデオロギーのくだりを聞いて、少し腑に落ちた。あくまでも演劇作品を作るのだ、作り手の本分がすり替わらないように、ということなのかなと思った。

これまで、私が提供してきた作品の上演中でも、他の人の作品でも、小さな観客が芝居には目もくれずにその場にあったものをおもちゃにして遊びはじめたり、ウロウロ歩き回ったり、全く関係ないことをしゃべり始めたり、ということはよくあることだった。日常茶飯事といってもいいくらい。そしてそんなこどもたちに、「ちゃんと見なさい」「静かに!」と親御さんや先生が注意をしたり、ひどいときは動かないように押さえつけたり、悲しいことにその場から出て行ってしまうこともよくあった。その度に、悪いのはその子じゃないんだけどな、という思いでいっぱいになった。多くの子供向けの芝居は3歳以上が対象だ。0歳から楽しめる作品です、と謳ってはいてもその実、0歳たちは置いてけぼりにされている光景はよく見かける。今思うと私もそのクチだ。彼らは人生の中で感覚的に、発達段階としても、特別な時期にいる。彼らに徹底的に寄り添う舞台作品を作ることは、これまでの作劇とは全く違うチャレンジになるだろうと思った。正直、現実問題、色々壁がある。自分が今、求められる現場の要望と擦り合せるのはかなり難しそう。まあでもやってみるだな、と思いました。

挙げ始めたらきりがないので、とりあえずこの辺で。
あとは実践あるのみ。

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二日間、ニコニコ笑って過ごしてくれたうちのベイビーと、家で待っていてくれた家族に感謝です。