divadlo

2016年06月

たちかわ創造舎、ぷれいご、ゴーレム

さて、先日の東京についての、つづき。

前日の私の大失態を受け、急遽スケジュールを調整し、方々に謝りながら好き放題させていただいた、二日目。

まず、ひとつめの好き放題は立川駅で倉迫さんに会う、でした。ほんの少しの時間でしたが。
倉迫さんはこれからうかがうたちかわ創造舎
のチーフディレクターで、たちかわ創造舎を拠点に活動する劇団Theare Ort(シアター・オルト)の演出家。こどもに見せたい舞台シリーズでお世話になった方。
忙しい人をこちらの都合で呼びつけて、隙間をぬって、でも一番話したかったことのさわりだけでも話せて、なぜだか少しホッとした。
自分よりも少し歳上で、同じ演劇という世界から重なる世界を見て、突っ走っている先輩に恵まれている、と常々思います。
場所が遠く離れても、同じ世界を、近い立ち位置から見ている。私はまだまだ全然ですが、彼が今挑んでいる現場は相当に面白いことになっています。たちかわ創造舎。その現場を見たいが為に、駅で倉迫さんと別れ、想くんと重いスーツケースを圭くんにぶん投げて、ひとりでたちかわ創造舎へ向いました。いやあ、圭くん、男前!!

創造舎へ着いて、まずは、これも直前にわがままを言ったにもかかわらず、快く見学させてくださった、ぷれいごを見に。
このぷれいご、たちかわ創造舎のプロジェクトパートナーであるMY COMPLEXが展開している、”英語コンプレックスを遊びながらなくす”英語と演劇の複合ワークショップ。
日本は生活の中で英語が全く必要ない国なので、我々の英語コンプレックスは本当に深刻な問題だなぁといつも思います。特におとなの方が根強い拒否感がある気がします。でも英語が必要ない、というのは少しでも世界に目を向けてみると全く通じない嘘だとすぐ分かるわけで。ネットで情報収集すると英語さえわかれば集められる情報量の違いに驚きます。そもそも他国の言語を習得する、ということは異国の文化に対する敬意や興味、未知のものに対する興味にも通じているし、それを拒否してしまうのはとても残念なことだと思うのですが。。。せめて、大人の英語に対する拒否感をこどもには受け継がせたくないな、と。どうにか取り組みたい課題だなあと思っていたので、ぷれいごの活動を見つけた時にとても刺激を受けて、いつか参加したいと思っていたのです。

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簡単な近況報告を経て、教材であるテキストに入って行く。テキストはこの講座の為にオリジナルで書き下ろされた台本で、なんと不条理劇だった。ゴドーにちょっと似ている感じ。短いフレーズでやりとりしながら会話を構築していく感じで、回数を重ねた今回は既に立ち稽古に入っていた。なるほど〜!不条理って、この講座にすごくマッチする気がして思わず何度も唸ってしまいました。まずフレーズが短いので、誰に向けて放った一言なのかを明確にしないといけないし、発言ごとに状況が変わったり、意味が変わったり、新たな展開をしたりするので、その意図を伝えないといけない。いや〜、おもしろい!とおもって終わったあと、その感想を伝えたら特に不条理にこだわってるわけではないとのことでした(笑)。ならば他の台本でやってるのもいつか見てみたい、参加してみたい、と心から思いました。
そしてこのブログを書いている今日 6/25(土)がこの不条理劇の発表会だそうです。13時から!ああ、もっと早くお知らせしとけばよかった!

MY COMPLEXさんは2014年からエディンバラのフリンジに参加しているそうで、今年も参加されるそうです。1ヶ月近くの長丁場。ご活躍を期待しています。無理なお願いを聞いてくださってありがとうございました。

さてその後、たちかわ創造舎で懐かしい方々との再会を果たして、ご案内までしていただいて。。。
プロの自転車のレーシングチームが入っているらしく、サイクルロードも近くにあって土曜日のその日は自転車がたくさん行き交っていたり。校庭でドローンを飛ばしてたり!そしてその時は知らなかったのですが、最近私が密かに激しく興味を寄せていた恐竜くんもプロジェクトパートナーだったり!アート、演劇だけにとどまらない活動がのどかに集合していて、とても興味深い施設でした。

そしてこれもやられた!感満載ですが、放課後シアターというのが始まったようです。
すべての場は劇場になりうる。生活の中で、演劇を気軽に楽しんでもらえたらという思いは非常に共感します。
29日(水)16:30から、ヴェニスの商人を上演するようです。是非に!

以前、一緒に芝居を作っていた友人が案内してくれましたが、何を話したわけでもないのに彼女の姿勢からもとても元気と勇気をもらいました。本当にありがとう。

さて、そこから。件のKAATへ。ゴーレムを見に。
特等席で、素晴らしい作品を見せていただきました。ゾヤさんも部分演出で関わる、と聞いてはいたものの。部分演出って、何?そんな手段をゾヤさんがとるだろうか、というのが一番の疑問でした。そして結果、ゾヤさん始め、チェコで人形劇を演劇をつくって来た方々が血となり、肉となり、天野天街さんという魔法使いの手を経て、一糸座さんと融合する様を見せていただいた。一番良い形で融合したのではないか、と思いました。そして、林 由未さん。本人にも何度も言ったけど、すごい仕事をやってのけたなぁと思いました。この作品にはあの世界観の、彼女の作品たちが必要だったと。そしてその人形達があの作品そのものの世界観を形作っていて、もう演劇作品そのものがゴーレムになってしまった、という果てしない気持ちにさせられました。途中で何度も目眩がして、良い意味で胸がつぶれるような気持ちになりました。素晴らしかった。少し遅いですが、本当にお疲れさまでした。


旅日記:にしすがも創造舎、KAAT

先週、諸々用があって、東京へ。弾丸旅だったので各方面の方々に大変お世話になりました。ありがとうございました。
お礼と記録の意味もこめて、残しておこうと思います。

まずはにしすがも創造舎へ。ここで育ててもらったと言える、大切な場所。廃校を転用した稽古場施設。近隣の中学校の立て替えに伴って、仮校舎として再び利用されるとのこと。7月で事務所は引っ越しちゃうし、12月には完全に撤退すると聞いて、閉まる前にどうしても想くんを校庭のカモで遊ばせたかったので。

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こどもに見せたい舞台シリーズでお世話になった場所ですが、ここでたくさんの出逢いと経験と、示唆と・・・語り尽くせない程多くのものをもらいました。と、私個人でもこんなに感謝している場所の軌跡をきっちり文章にしてくれているサイトがシェアされていたので、
詳細はこちらをごらんください。

fringe.jp--東京のアーツセンターにしすがも創造舎

フィナーレに向けて、7月にはイベントも予定されているようです。もちろんこどもに見せたい舞台も。

としまアート夏祭り

そして一緒ににしすがもでお芝居を作っていた方々はたちかわ創造舎という新しい本拠地へ、と。立川へは翌日伺ったので、この詳細はまた後ほど。

きっとしばらくにしすがもに来る事もないので、懐かしの中華屋へ。潰れてなかった。でも、当時のマスターはやっぱり居なかった。

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人は変わってもサービスしすぎなところは変わらず。想くんが愛想を振りまいた、という理由でデザートにキウイを出してくれた。
この店に想くんがいる、という不思議よ。。。
と、おセンチな気持ちになっている間に、私、重大なミスを犯しまして。
この後、西巣鴨からはるばる横浜KAATへ、私的にはこの旅一番の目的である舞台を見に行く予定だったのですが・・・。

ザ・開演時間を間違える。

何百本、いや、千本?数えた事無いけど、まあそれはそれなりに観て来ているのだけど、多分初めて。

江戸糸あやつり人形の一糸座さんの公演。な、なんとわれらが林由未さん(人形作家)が人形制作&その他諸々(それはもう膨大な仕事で語り尽くせない)で、そして、なんとなんとなんと、私が在チェコ時に作品制作した際に演出してくださった、ゾヤ・ミコトバーさんが部分演出、出演、というアンビリーバボな作品「ゴーレム」。随分前から企画が進んでいたような気がする。途中、ゾヤさんが絡む、来日する、と聞いてからはもうこの為に必ず行こうと決めていた作品。観劇中はゆみさんが想くんの面倒まで見てくれることになっていたのに。開場前でゆみさんは待ちぼうけ。開演時間過ぎても来ない私に電話したところ、ぼんやり電車に乗っているという悲劇。慌てた元町中華街の駅では真反対の出口に出るという失態。おかげで15分程、走る。2歳のこどもとスーツケースを引っ張って、走る。途中、ちょっと泣く。でも、想くんを抱えて走る圭くんの背中は触れると切れるナイフそのもので、何も言えなくて夏。。。
最近こういう事が多い。歳のせいにはしたくないけど、気をつけます。

という事件のせいで、観劇は翌日に私だけがすることに。一糸座さん、その他関係者の皆様には誠に申し訳ないかぎりですごめんなさい。
とはいえ、ゾヤさんとは終演後に感動の再会(見てないのに)。
その後、ゆみさんちの車で送迎までしてもらって(見てないのに)。
ゾヤさん達とごちそうまでしてもらって(見てないのに)。
たくさんおみやげをもらって、ホテルまで送ってもらって(見てないのにああ、見てないのに。)

もらってばかりの人生から、いつか卒業したいと思った横浜のホテルの夜。

続きはまた後日。

太陽の子

5月末。仕事がちょうど一区切り付いた日。太陽の子がうちにやってきた。

太陽の子、とは私が心の中で勝手にそう呼んでいるだけで、まあ、東京で一緒に舞台を創っていた、先輩のことなのだけど。彼女の事を知る人は、彼女は太陽の子だと言えば、おそらくみんな、「そうかもしれない。本当にそうなのかもしれないね。」って言ってくれると思う。そんな人。

太陽の子、よくしゃべる。とにかくしゃべる。今回も、たくさんしゃべって、うまいうまいとふつうのうどんとか、おいしいうなぎとかをたくさん食べて帰って行った。あと、人をびっくりさせることも好きなので、たった1泊しかしてないのに何度かびっくりさせられて笑いが止まらなかった。

あの人、何をしにきたのだろう。

ほんとにもののついでにフラっと寄っただけだろうか、と思ったとき、ドキッとした。

彼女の仕事に向かう姿勢。夢中で世界を語る、熱。

やってるか、私。忘れてないか、大事なこと。

多分本人もそんな気はさらさらないのだろうけど、周囲の人間にそう思わせるのが、才能ってものなんじゃないだろうか。

そしてドキッとさせるだけじゃなく、太陽は誰をも等しく照らす。暖かく、優しく。

私は、私の場所で、私の仕事をする。

次、一緒に仕事した時に、「なんだ、つまんなくなったなー。」とか言われないように。

私、がんばる。

来てくれて本当にありがとう。

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