divadlo

2016年08月

あかずきん@戸畑こどもと母の図書館:ありがとうございました

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8/27(土)、戸畑こどもと母のとしょかんで「あかずきん」を上演させていただきました。
ご来場くださった皆様、ありがとうございました!
予想を遥かに超える数のお客様にお越し頂き、毎月恒例のえいごのおはなし会を楽しみにしていらっしゃった方々にはとてもご迷惑をおかけしてしまったように思います。また、見えづらいことも多々あったかもしれません。なにより少し前倒しで上演を始めてしまったことでご迷惑をおかけした方がいないか・・・少し心配ではありますが、お芝居が始まってすぐ、あんなにちいさな子どもたちが、ぐぐぐっと音をたてて世界に突入して行く様は、何度思い出してもぞくぞくする、最高にしあわせな時間でした。

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今回は未就学児率の高いお客さまでしたが、その集中力と反応の良さったら!
シンプルな人形のシンプルな動き、シンプルな場面展開と繰り返しはまさに彼らにぴったりな感じで、どんどん場が盛り上がって行ったように思います。

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上演後はやはり人形を触ってみようの時間を設けましたが、こんなに小さなお客様がよちよちわらわら集まってきた光景も胸きゅんでした。
そしてこのこけし人形の魅力をこの小さなお客様方に改めて教えてもらったのですが、とにかくとんとん鳴らしたいらしい。初めこの人形を美術家から受け取った時に、手足の無いこのこけしをどうやって操れというのか、表現、表情をつける術がないように感じてうちひしがれた瞬間がありましたが、いやなんと。自然と編み出されたその操演法が、こんな小さな子のこころをワシ掴みにしている光景を見て、人形劇って深い!と今更ながら思いました。ほんと、今更。

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そしてなにより今回私を心から楽しませてくれたのは、つかのみきさんでした。
当初、私一人で上演する予定でしたが、おはなししているうちにあれよあれよと話が繋がって、稽古まで付き合ってくれて、すっかりコラボ作品になりました。
北九州で舞台活動を続けて居る方々はたくさんいるのですが、なかなか繋がる機会が無かった私ですが、今回初めてこういう形で一緒に何かを作れたことは本当に嬉しいことでした。やっぱり人を知るには、一緒に演劇しないとわかんないな、と勝手に思いました。私にとって演劇って、人を知る道具だ、と。
何を言っても受けとめてくれて心から感謝します。のびのびできました。ありがとうございました!

図書館という誰でも入れる場所で、演劇に触れる機会が少ない人もそうでない人も、劇場に行けない人もそうでない人も、0歳でも、子連れでも、お金なくても、見られる「演劇」だといいなあと思いました。その為にはまずは創る側の精進が大事ですね。今後も引き続き精進します。
「図書館」という場所は現実と夢の出入り口のようで、演劇するにはぴったりの場所だと思いました。特に戸畑こどもと母の図書館は、希有な場所だと思いました。こじんまりした落ち着いた、懐かしい雰囲気。話しやすい司書さん。大きな図書館も重要ですが、小さな図書館がたくさん点在している方が良いと思いますが、北九州市は真逆の方針らしいですね。どうなるかな。

さて、実はこの図書館での上演の後、つかのさんのご紹介で絶賛キッズキャンプ中のアイアンシアターでも上演させて頂きました。そのお話はまた明日。

ひとまず、ありがとうございました!

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みんなの学校

先日、「みんなの学校」を見てきた。
昨年、東京近郊に住む友人達が軒並み見ていたドキュメンタリー。公式サイトやトレイラーを見るだけでも大変興味深く、福岡に来てくれるのを心待ちにしていた。

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とある小学校のケースが描かれているのではなく、今私たちが生きているこの社会全体のことが描かれているように感じた。自分ではない他人、自分とは違う他人と、どうやって一緒に生きて行くのか。きっとこどもたちにその方法を示すことは、どんな大人にとってもとても難しいことだと思う。だけど、そもそも正解や正しい手順なんてものはなく、一緒に悩み、考えて、寄り添っていくことなんだな、と痛感した。この映画に出てきた先生方も、経験を積みながら手探りでこどもたちに寄り添ってきたことがひしひしと伝わってきた。そしてその蓄積が若い先生方に手渡されている瞬間が何度も見えた。
もうこれからの時代って、他者とともに生きる、ていうことからは逃れられない社会になって行くことは明らか。高齢化はどんどん進む。社会を支える年齢層は徐々に減る。困っている人はきっと増える一方で、それを個人が背負って行く構造はすぐに限界がくる。一部の豊かなひとはそれを他人事だと言えるのかもしれないけど、もうそういう世の中では、そういう時代ではなくなっているんじゃないでしょうか、既に。
私は私のこどもたちにどんな蓄積を手渡すのか。どんなものの見方を、どんな価値観を、どんな社会を手渡すのか。それは、毎日子どもたちとどんな時間をすごし、どんな言葉をかけるか。この一瞬一瞬の選択だな、と。

この映画を観た朝も、イヤイヤかんしゃくまっさかりのこどもを理不尽に叱りつけてしまって、映画の中で校長先生が新任の先生が私と同様にこどもを怒鳴り散らしているのを見て「クビ!」と言い放った瞬間は、本当にああ、私、母親クビだなぁ、と心底反省しました。ええ、先は長いですが、一瞬一瞬を大切に、一緒に成長していこう、大丈夫!と、強く背中を押してくれる映画でした。

素晴らしかったです。