501 furniture blog

しぜんのくに保育園

超長文です。

研修旅行の最後に、町田のしぜんのくに保育園 small villageに見学に行ってきました。



昨年から501FURNITUREでは月一回、おはなし会とワークショップを重ねてきました。
木工は、やはりそんなに簡単な創作活動ではないので、ある程度のサポートや事前準備が必要になります。
どこまでお膳立てしてしまうか、いつも悩みの種です。
それは作る人が持つ創造性の芽を制限しないか?もっと自由に、もっと楽しんでもらえる為には私たちはどう振る舞ったらいいのか、いつも迷いながら準備しています。
ちょうど店長が生まれて、彼が原始的な行動、例えば目で見る、指先で触れる、舐める等を通して、あらゆる能力を獲得して世界を認識していく様を目の当たりにして、子育てにはものづくりのヒントがたくさん隠されてる!と実感していました。
それはワークショップの対象がこどもでも大人でも大差ない、ということも明白でした。
人が興味を持ってひとつのことに集中して取り組むことの奥深さと、そしてそんな時間を一緒に体験することの面白さ。
そんなことに思いを馳せていた私たちが、なぜ通うことのない保育園の見学に行ったか。
以下のレポートを見れば自ずとわかるのではないかと思います。

そんな私たちの見学を快諾してくださり、丁寧に案内してくださったお礼も込めて、その素晴らしいこどもたちの生活を、ご紹介させていただきたいと思います。



美術の部屋、音楽の部屋、演劇の部屋、建築の部屋、研究の部屋。
クラスの枠組みを超えて、こども達が自らの意志で居場所を決めて過ごす時間が多いらしく、
それぞれの部屋の入り口には部屋の名前が額縁に入れて掲げてあります。



美術の部屋。現役の作家さんが常駐で職員として勤めていらっしゃいました。
たくさんの様々な素材が整頓して準備してあって、その様を見るだけでも自然と手を動かしたくなる環境でした。
作家さんが常駐しているあたりはレッジョを彷彿とさせますね。レッジョについてはまた後ほど。



建築のお部屋。部屋に鎮座する不思議な遊具のような家具のようなもの。所々にレゴの土台が設置してあったり、
アクリルが張ってあって中が透けて見えたり。レゴや積み木をその土台の上で組立てて、ひとつの大きな町がデザイン出来る
という驚きの物体でした。コクヨファニチャーさんとコラボして作ったのだそうです。圧巻でした。圭くんもかなりシビれてました。店長も夢中で、張り付いて離れませんでした。



研究の部屋。野の花や葉っぱ、石、恵まれた自然環境から集めてきた自然の形を研究、観察する部屋。



そして驚きの園庭。この園庭がすべてを物語っている気がします。
この園庭でもちろん運動会もするとのことですが、運動会、というよりは日々こども達がこの自然の中でいかに遊んでいるかを見てもらうという形をとっているとのことでした。親御さんを喜ばせる為だけの催しではなく、あくまでもこどもたちの生活が主体。



演劇の部屋。ごっこ遊びの部屋とあなどるなかれ。



衣装もオリジナル。お店屋さんごっこを本気でやるのです。
本気でやるから意味があって、楽しいのです。演劇の本質ですね。



本の部屋。絵本だけでなく、写真集や大人が読む本がたくさんおいてありました。
確かに私も子どもの頃、親のパッチワーク雑誌を夢中で眺めていました。



以前園庭に立っていた木を切り出して、図書室の家具を作ったそうです。
本棚が大きな木のようにデザインされていて、その木の中で切り株のクッションに座って本を読める。
夢のようです。

こどもたちが世界を発見する時間に寄り添う。
職員の方々が、その誇りを胸に仕事をしていることが伝わってくる。いい空気が満ち満ちている贅沢な空間でした。

小さな子どもたちにとってはこの世界と出会うに際して、芸術を通した体験をすることはとても意味があると思います。
では大人は?大人にはもう芸術は必要ないか?答えは否です。
子どもも大人も関係ない。
人間が人間らしく生きて行く為には、芸術と向き合ったり、見たり、聞いたり、手を動かしたり、考えたり、感じたり、想像したり・・・むしろそれこそが重要なのではないか。
こども達が生き生きとそれを証明してくれていた気がします。

そもそもしぜんのくに保育園に興味を持ったのは、渋谷区の親子支援センターかぞくのアトリエさんの情報を知ったのがきっかけでした。
そちらで『おとキャッチ』というワークショップをしていらっしゃる齋藤さんという方が、町田で保育園をしている、という話を聞いたのがきっかけでした。
今回はかぞくのアトリエには時間が足りず、残念ながら行けなかったのですが、
こちらも面白い活動をしているので、いつか行ってみたいところです。

また、文中レッジョ・エミリアの話が出ましたが、お話を伺ってみると、レッジョの教育そのものをやろうというわけではないが、様々な保育理念について研究した上で、独自の保育方針を取られているとのことでした。
イタリアのレッジョ・エミリア市の幼児教育については長くなるので割愛しますが、こちらの本がとても詳しく書かれていて面白かったです。

驚くべき学びの世界

とても勉強になりました。
直前に無理を言って見学をさせていただきましたが、本当に本当に素晴らしい保育園でした。
通うこともない私たちに丁寧に説明し、時間を割いてくださったことに心から感謝したいと思います。
今後の我々の活動がいかに成長し、変化して行けるか。
希望を与えて頂いた時間でした。

ありがとうございました。

しぜんのくに保育園 small village