divadlo501

キーワードは『生活の中に、アートを。』

劇場でもない
美術館でもない
小さな街角にある、小さな家具屋。
ちょっとしたパフォーマンスやコンサートやイベントが、
生活の一部を扱う『家具屋』で行われるその様は、
一見すると、奇妙に見えるかもしれません。
しかしそれは奇妙なことでしょうか?

特別な時にしか触れない特別な芸術も、もちろん素晴らしい。
だけど日々の生活の中にも、アートは存在します。
そんな瞬間に出逢うことで、世界がちょっとだけ違って見えたり、それまで知らなかった人と話したり。

むしろ私たちに必要なのは、日々の生活の中にひそむ
美しい瞬間に、どれだけ目を向けることができるか、
かもしれません。

※Divadlo(ヂバドロ)とはチェコ語で『劇場、演劇』という意味の言葉です。

ヤマネコ毛布と紙版画WS@ふくちのち

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以前、501FURNITUREのきのこイス製作WSでお世話になった、福智町の図書館、ふくちのち。
ちょうどいま、ヤマネコ毛布の原画展をやっていて、紙版画のワークショップがありました。
ヤマネコ毛布は想くんも私も大好きな絵本。しかも山福さんが紙版画のワークショップ!そして我が家は断然の猫派!
とあらば、昨年亡くなったしまちゃんの遺影を紙版画で作ろうではないか!ということで、ノリノリで参加してきました。

厚めの紙に下絵を描いて、ニードルなどで引っ掻いて。。。
油性のインクの匂い。小学校の木版画以来。懐かしい。

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想くんがプレスしました。いいなあ、プレス機。

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いやあ、版画っておもしろい!!
山福さん曰く、インクを入れるのも、拭き取るのも、全部がニュアンスになる。
我々、絵のセンスは皆無ですが、

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良い感じに遺影っぽく仕上がって、大満足しております。
またやりたいなぁ、紙版画。

ヤマネコ毛布原画展は2/12まで。
来週は山福さんのライブもあるらしいです。山福さん、多才だ。。。

baby theatre,Dalija Acin Thelander WS_参加記録

寒中見舞い申し上げます。昨年はマイペースながらも充実した活動をさせていただきました。お世話になったみなさま、ありがとうございました。
今年は昨年に引き続き幼稚園、保育園での出張上演やえんげきあそびとともに、501FURNITUREの店舗でも上演をしていきたいなと考えています。
また、秋にちょっと大きな企画も計画しているのでまた少しずつお知らせしていけたらと思います。

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さて、新年早々ベイビーシアターのWS参加の為に、然くんだけを連れて上京してきました。
ベイビーシアターについては昨年のちょうど今頃、つわりでグロッキーになりながらジャッキー・E・チャンさんのレクチャーを受けに福岡市まで行ったことがありました。ジャッキーさんのお話は脳科学的なアプローチも多く、アカデミックな印象で、本当に大きな刺激を受けることができました。今回講師をしていたダリアさんからはより実践的なお話を聞かせていただいた気がします。本当に多くの気づきとひらめきをもらえました。自分の仕事を通して実現できることがちりばめられた話だったので、咀嚼して、トライしていこうと思いました。

1日目はダリアさんの創作についての話もしつつ、乳幼児の発達段階についての基本的な話や、参考文献についての解説も織り交ぜながら、乳幼児のための舞台芸術が彼らの発達においてどんな影響を与えうるのかについて。
2日目はダリアさんの演出作品を例に、音楽や美術についてのお話や、具体的に会場で起こった事例などを元に観客との関わりについてのお話なども。多岐にわたるトピックをかなり詳細に話してくれたので、ヒントになるキーワードが散りばめられたお話でした。

オイリーカートが実践する障害を持つこどもたちの為の多感覚演劇とも、共通項は多いものの、別物だなと感じました。ベイビーシアターはよりインタラクティブな要素が強い印象。観客が入って初めて成立する部分が多い。ドラマトゥルグも必要ない、とまで言い切っていたのはとても印象的だった。観客(ベイビー)と演者の境を取り払っていく作業。その為に演者に求められる知識と感覚。自分の作劇に立ち返って、聞いてきた話を反芻すると、目が冴えて全く眠れなくなるほどでした。

演劇が教育的であることに対しては反対の立場であると言っていたのが意外に感じた。演劇は教育以上のものであるという考えだから、ということだったけど、その場でいう「教育」の定義が曖昧だったので、しばらく考えてしまった。なぜなら、提示してくれた様々な参考文献や、ダリアさんが感じていることはモンテッソーリやレッジョなどの幼児教育で言われていることと重なることが非常に多かったから。こどもの発達段階に対して慎重に注意を払う、ていう意味ではそれが教育だろうが演劇だろうが、掲げる看板の違いだけのようにも思えた。しかし「アーティストの直感を大切に」「アーティストとしてこどもたちとどう出会うか、どう向き合うか」や、イデオロギーのくだりを聞いて、少し腑に落ちた。あくまでも演劇作品を作るのだ、作り手の本分がすり替わらないように、ということなのかなと思った。

これまで、私が提供してきた作品の上演中でも、他の人の作品でも、小さな観客が芝居には目もくれずにその場にあったものをおもちゃにして遊びはじめたり、ウロウロ歩き回ったり、全く関係ないことをしゃべり始めたり、ということはよくあることだった。日常茶飯事といってもいいくらい。そしてそんなこどもたちに、「ちゃんと見なさい」「静かに!」と親御さんや先生が注意をしたり、ひどいときは動かないように押さえつけたり、悲しいことにその場から出て行ってしまうこともよくあった。その度に、悪いのはその子じゃないんだけどな、という思いでいっぱいになった。多くの子供向けの芝居は3歳以上が対象だ。0歳から楽しめる作品です、と謳ってはいてもその実、0歳たちは置いてけぼりにされている光景はよく見かける。今思うと私もそのクチだ。彼らは人生の中で感覚的に、発達段階としても、特別な時期にいる。彼らに徹底的に寄り添う舞台作品を作ることは、これまでの作劇とは全く違うチャレンジになるだろうと思った。正直、現実問題、色々壁がある。自分が今、求められる現場の要望と擦り合せるのはかなり難しそう。まあでもやってみるだな、と思いました。

挙げ始めたらきりがないので、とりあえずこの辺で。
あとは実践あるのみ。

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二日間、ニコニコ笑って過ごしてくれたうちのベイビーと、家で待っていてくれた家族に感謝です。

終了しました:The mitten, The Red Ridinghood,てぶくろ

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12/17に宗像市にて新作人形劇"The mitten"と"The Red Ridinghood"の上演をさせていただきました。
"The mitten"は先月のプレ上演からかなり演出を加えての上演になり、全編英語でお届けしました。言葉数をなるべく少なくし、シンプルな繰り返しのお話しの醍醐味を楽しんでもらえたらと思い、製作しました。日本語より英語のほうがぴったりくる感じになりました。
"The Red Ridinghood"はこれまで二人体制で上演してきたものを一人で上演できるように作り直して、さらにこちらも全編英語に直しました。
こちらは既存の台本がかなり喋る台本だったので単純に英語に直すだけだとおもしろく見えるのか不安な側面もありましたが、最終的には違和感もなく仕上がりました。既存の作品にしろ、新作にしろ、母国語でない言葉で台本を整理していく作業は、実はとても面白い作業です。音楽や動きと同じく、セリフもその作品を構成する記号のひとつなので、削いで削いで、いや付け足して、という作業は目に見えない彫刻を作っているような感覚で・・・その繊細さはお客様には関係ないと言ってしまえば関係ない、でも実は一番大切なんじゃないかとも思える作業でした。
宗像のお客様は上品で暖かく、終演後も人形たちと触れ合ったり、てぶくろに入ってみたり。楽しんでいただけたようで、本当に良かったです。

12/25はいつもえんげきあそびでお世話になっている旭ヶ丘保育園で「てぶくろ」日本語版の上演でした。
こどもたちにとっては、生活発表会で上演する「てぶくろ」。今日はたにやん、それひとりで演るよ!と始めさせてもらいました。
いつものえんげきあそびの延長のような空気だったので、こどもたちの緊張感はまるでなく。良い意味で最高にリラックスした状態で見てくれました。
あまりに心の距離感が近すぎて、私のほうがペースを乱す場面もありました。勉強になりました(汗)。

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てぶくろはまだ生まれたばかりの作品です。たくさんの人に愛される作品に育てていきたいと思います。

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旭ヶ丘キッズにクリスマスプレゼント。いつも舞台美術でお世話になっている林由未さんが福音館から絵本を出しました!!
しかも付録であやつりにんぎょうが作れるという!!3月のえんげきあそびの教材として使うので、フライングで絵本だけプレゼントです。

これで、2017年のDivadlo501の上演は終了です。今年は出産もあったので、ぼちぼちマイペースでしたが、おかげさまで充実した1年になりました。
特に妊娠中、出産前後などの私の都合やわがままに付き合ってくださった共演者やご協力いただいた方々には感謝しかありません。本当にお世話になりました。まだ然くんも4ヶ月なので、引き続きぼちぼちでしか動けませんが、ゆっくりゆっくり歩んでいこうと思います。
皆様良いお年を!
来年もよろしくお願いします。

Divadlo501 New performance “The mitten”

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新作人形劇のお知らせです。
12/17に宗像市で「てぶくろ」の英語版"The mitten"と「赤ずきん」の英語版"The Little Red Ridinghood"を上演します。
"The mitten"は先日のらんらんランドで一度baby versionと称して上演しましたが、内容も少し違う形になりそうです。
美術はいつもお世話になっています林由未さんにお願いしました。考えてみたら作品を一緒に作るのはすごく久しぶりでした。超多忙なスケジュールをがん無視して無理をさせてしまいました。でもおかげさまで良い作品になりそうです。
"The Little Red Ridinghood"は「あかずきん」としてこれまで二人体制で上演してきたものを私一人で、英語で上演できるように作り直しました。これも美術は林さんです。
ふたつとも、ある意味初演です。
ひゃー!楽しみです。

尚、今回は一般入場は受け付けておりません。
3月くらいにみなさんに見ていただける機会を設けようかと考えています。詳細はまた後日お知らせします。

えんげきあそび ’17/12/04

さあ、えんげきあそび年中、年長組は、2月の生活発表会に向けて、「てぶくろ」の準備を進めています。
今月はオープニングとエンディングの影絵部分の練習に入ります。

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「いましお」
・・・完全に観客を意識する視点が欠落していたため逆から読むはめになりましたお恥ずかしい。
「おしまい」
です。ごめんなさい。エンディング影絵のテストをしました。

そのあと、影絵シーンで使う楽器に触れてもらいました。トーンチャイムとアコーディオン。
影絵チームとトーンチャイムチームに分かれて、先生にアコで伴奏をつけてもらうことに。
楽曲は私が自分の上演のオープニングで使っている曲をトーンチャイムとアコーディオンで弾けるように少しアレンジして・・・
と、ひとつの作品を、保育園バージョンと上演バージョンに同時進行で製作しています。
頭がごちゃごちゃしますが、お互いがお互いを刺激しあったりして、実は私が一番楽しいかもしれません。
しかも上演バージョンは次回は英語での上演。もうなにがなんだかむにゃむにゃ。。。
むにゃ楽しい数週間、満喫しようと思います。

てぶくろ@東谷らんらんランド ’17/11

11/28に「ちいさなおしばい うごくえほん〜さわって、きいて、みてみよう〜」を開催しました。
0,1,2歳に向けたイベントは初めてだったのでとても刺激的な、貴重な体験になりました。
私自身、小さな子どもと日々向き合う生活をしていることもあり、また、昨年のオイリーカートやベビードラマの体験もあいまって、
自分にとってもチャレンジできる場でした。

からだのじかん。自分の体にタッチ!ほっぺにタッチ!
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そざいのじかん。
ユリ・シュルヴィッツの「ゆき」を読んで、素材でイメージを膨らませて遊んでみよう!
この不織布をこの後のプログラムでも使い倒す予定が・・・都合上できず。無念。
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ひかりとかげのじかん。
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人形劇「てぶくろ」の上演。
未満児が対象だったので、ほぼ語りに近い形でシンプルに上演しました。
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話題の影絵。暗いと写真がなかなか撮れません。。。あと、暗いとベビーは基本、泣く。
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終演後はいつものにんぎょうたちとはいチーズ!
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0、1、2歳だけの場、というのは考えてみれば初めてだったので、こんなにも違うものかと感じました。
これは・・・おもしろい!
これまで3歳未満の子たちが以上児と一緒に居る場でお芝居をやったり一緒に遊んだりする機会が多かったのだけど、いかに未満児たちに目が行っていなかったのかがよくわかった。彼らこそまさにフリーダム。彼らには彼らの為の作品が必要だなと実感した。そしてそれはとても直感的で、よりアーティスティックなものになりそうな予感がした。
正直、今回私が未満児を意識して準備していったものはほとんどと言って良いほど彼らの生々しい感覚には遠く及ばず、だった気がする。

是非またやりたい! 0、1、2歳!!ベビー専用のえんげきあそびもおもしろそうだな。また会えますように!!!

すんぷちょ、オイリーカート、ちいさなうみ

昨日13日から始まった、枝光まちなか芸術祭2017。
すんぷちょさんの「ちいさなうみ」は製作段階からFBで拝見していて、見たくてたまらない演目だった。
上演を見ることはできないけど、レポートが聞けるとあって、こどもたちを預けてひとり、枝光へ。

ちいさなうみ

オイリーカートのワークショップからちょうど1年。まさか北九州でこんなにオイリーカートの話を聞くことになるとは!
オイリーカートは30年余の歴史を持つ、幼児からさまざまな障碍を持つこどもたちを含む、すべてのこどもたちのために舞台作品を作ってきたイギリスの劇団。昨年、インクルーシブシアターワークショップを東京と仙台で開催し、私は東京のワークショップに参加したのです。
あまりに劇的な出会いなので、ここで語るのは割愛して、詳細はこちらの記事をご覧ください。

オイリーカートWS

仙台で活動していらっしゃるすんぷちょさん。以前から度々枝光にはいらしていたのに、なかなかタイミングが合わず、まだ拝見できてなくて、
お話をきいてさらに「ああ、見とけばよかった!」とじりじりするほど、面白そうな活動をしてた。
作品の構成や俳優の選び方、楽器の選択、オブジェクトの選択。。。ただワークショップを開催して、受けて、はい、終了ではなくて、ワークショップののちに、そのノウハウやこれまでの経験を元にひとつの作品を作り上げるところまで持っていけてることにとても感動した。
ダイジェストや、片鱗しか見られなかったけど、確実にオイリーカートのエッセンスを吸収し、すんぷちょらしく新たに生み出された作品のように感じた。また、ソーシャルストーリーや、事前の保護者との打ち合わせなど、作品製作以外の部分のノウハウもきっちり受け継いでいて、完璧だった。それもこれも、やはり、すんぷちょさんのこれまでの活動があってこその、その応用力だな、と思った。出会うべくして出会った、という感じ。
そしてやはりちゃんとマジカルな瞬間は生まれていたようで。参加者の少年たちの様子を追った映像を見せていただいたのだが、、、これがまた感動的だった。ひとりの少年は、劇場に足を踏み入れたこともなく、日頃は家でDVDを見たり、ドライブに行くことが楽しみ。そんな少年が舞台作品を鑑賞できるだろうか、と、親御さんは打ち合わせの段階からかなり心配していたようだった。当日も緊張のせいか、劇場には入れず、駐車場の車の中にいた。俳優が遠くから踊ってみたり、親御さんが小道具を車の中に持って行って触らせたり。少しずつ距離を縮めて、最後には劇場の入り口付近でネームソングを迎え、名前を呼ばれて手を振っていた。胸が熱くなる瞬間だった。
演劇というコミュニケーションは、この手触りは、他のどの芸術にも置き換えられない。

自分にできることがまだまだたくさんあるなぁ、と。まだやってないことがこんなにある!とあちこちつつかれて、ドキドキした。未来の可能性にこんなにわくわくできて、気持ちの良い帰り道だった。

が。
0歳も3歳も、こどもたちはちょっと寂しかったようで、マンションの下で私の車を待ってると言われてぶっ飛ばして帰りました。
0歳の方はその後から今に至るまで、ギャンです、はい。

枝光まちなか芸術祭2017
今年もとっても面白そう。太めさん、見たい。今年こそ、見たい。。。行けるのか、私。がんばれ、0歳。。。

えんげきあそび’17/10/02  えほんえらび

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10月から小倉南区 旭ヶ丘保育園でのえんげきあそびの時間を再開しました。
9月末の運動会を終えて、次は2月末の生活発表会に向けて、いよいよ作品制作に入っていきます。
この日は作品になる絵本を選びました。

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保育関係の書籍で、生活発表会向けのCD付きの戯曲集などもあるのですが、今回はこどもたちの大好きな絵本からえんげきをつくろう!ということになり、私の産休中に既に2作品も作って遊んでいたとのこと!こどもたちのポテンシャルもさることながら、それを導いた先生の技量に脱帽!私は現場にいませんでしたが、こどもになって参加したかったよまじで!と、本人に伝えました。
そのノリ、流れのまま生活発表会に向かって欲しかったので、まずは絵本を選ぶところから。
候補作を10作ほど並べて置いて、生活発表会でやるならどれがいいか、選んでもらいました。

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どうしてその作品がいいのか、理由もちゃんと言ってもらいました。好きだから!という意見が多い中、意外な理由がでてきたり、男の子に圧倒的人気を誇るのは「がらがらどん」であることが判明したり。意外な作品が残ったり消えたりと、なかなか参考になる時間でした。
そして最終的に決まったのは・・・

てぶくろ表紙

こちら!
さっそくたたき台の台本を書いてみたら、、、おもしろい!
楽しみ〜!!!

会いたくてももう会えない人

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超私事で恐縮ですが、先日、二人目の男の子を出産しました。
臨月入ってから「へその緒が首に二重に巻いてるから、陣痛来てみて降りられなさそうだったら緊急搬送して帝王切開ね。」という先生の言葉におののきつつ、想くんと同じくやはり予定日越えのマイペース男子は、陣痛来てもなかなか本気を出さず。これまた想くんと同じく朝を迎える頃には陣痛は遠のき。助産師さんから驚異の「農事センターに散歩に行ってこい」との指令を出され、ふーふー言いながら農事センターに行き。帰りにサンリブでソフトクリームまで食べ。それでもなお出てこず。3交代目の助産師さんは「この子、首巻いとるけねー!陣痛の間隔は縮まらんよ。えーい、命がけっ!っちゅーて、機会を伺っとるよ!」とのお言葉の通り、痛みのピークを迎えてからはあっという間だった気がします。そして出てきてみたら助産師さん曰く「あら、巻いとらんやないね!」自分でほどいて出てきてくれたらしい。入院してから20時間超えてましたが、最終的に取り上げてくださった三交代目の助産師さんの、「ほんとにヤバくなってからは・・・3時間くらいやね!」とのさじ加減で分娩時間は驚きの3時間になりました。さじ加減しすぎや!あんなに苦しんだのに!まあとにかく無事に出てきてくれただけで、もう、世界中に投げキッスでした気持ち的に。

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今年の5月に、10年飼っていた猫が亡くなった。腎臓が悪かったのと、悪性リンパ腫だった。
想くんを火葬場まで連れて行った時。生まれてからずっと一緒だった人懐こい猫が、重く暗い扉の向こうに連れて行かれた瞬間に想くんが文字通り「うわーーーーん!!」と泣き出した。3歳のこどもにはちょっと辛すぎる体験だったなぁと、親としてこんなことしてよかったんだろうかと思ったりもしましたが、ただ、そうだなぁ、私も今一番発したい声は「うわーーーん!!」だなぁと心から思って想くんを抱きしめたのでした。
そのあと、遺骨を海にまきに行ったその海の潮風や、どこまでも広がっていそうな空の感じは、ちょっと言葉に言い表し難い、忘れられない印象的な風景だった。あの時のこと、想くんはどう思っているだろうか。

会いたくても、もう会えない人についてこんなに切実に想いを馳せる機会が多くなってきたのは、歳のせいか。
演劇に関わっているとフィクションの世界でそういうことを考える機会は多いものの、実際の生活の中で、もう会えない人へのその想いに囚われる程の切実さはなかったなと思う。囚われすぎていると演劇どころではなくなってしまうかもしれないけど。

先日亡くなった先輩方のことは、にわかには信じ難い、衝撃的なニュースだった。一人は私とさほど年も変わらない、在研同期の先輩で。くも膜下出血だった。これまでも革新的で、面白い仕事をたくさんしていて、これからもきっとわくわくさせ続けてくれるに違いない人で。一緒に色んな国に行って色んな芝居を見て、感想を分かち合った。一度その人に、ちょっと失礼な対応をする人がいて、それでも礼を尽くすその先輩に「なんでそんな奴に優しくするんですか?」って聞いたら「うーん・・・ホスピタリティー、かな。」とぽつりと言われて、ものすごくハッとさせられたことがあった。ノリノリでぎゃあぎゃあ話をするのが楽しい姉さんだったけど、根底に流れる品の良さと知性を感じて、そんな質問をした自分が恥ずかしくなった。切り返す言葉はいつも鋭くて、でもユーモアと優しさがあるから人が集まってくるような、憧れの人だった。
もう一人の方も、突然のことだったので呆然としてしまった。もう10年くらい前に一度だけ共演させていただいて、当時、アンサンブルでセリフも少ない私によく細々と優しくアドバイスいただいて、本当にお世話になった方だった。
どちらも、きっと亡くなった本人が一番びっくりしただろうな、怖かっただろうな、痛かっただろうな、と。悔しかっただろうなと思うと、胸が潰れる。

まだ生後間もないほやほやの赤子を前にして、死ぬことについてやたら考えてしまうのは、生まれることと死ぬことがとても近いからだろう。
出産の最中のことを思い返すと、先述の猫が、亡くなる瞬間のことがふと思い出される。
その日は友人宅に家族で出かけていて、帰りが少し遅くなった。珍しく想くんが帰りの車でぐっすり寝てくれたので、
いよいよ容態が悪化しつつある猫のケアをしてあげようと、圭くんと二人でオムツや体を拭くタオルなどを準備している時だった。
顔を見た瞬間、瞳孔が開ききっていていつもと違う目をしていた。体の動きも鈍く、体を拭こうとした私たちは様子がおかしいことにすぐ気がついた。
鈍い動きで徐々に硬直していく体。長い時間だったような、ほんの数分だったような、時間の感覚が歪む感じ。
カーッ、カーッ!と突然声にならない音を数回発して硬直しきってから、動かなくなった。
命が絶える瞬間を目の当たりにする機会がそんなに多くないので、愛猫が息絶える瞬間に、感情的に辛い部分は多かったが、どこか冷静に観察していたんだなと、ここまで細部にまで渡って覚えていることをみると、我ながらなるほど、と考え入ってしまう。
それがまさに出産の瞬間と、重なる。
出産の最中の自分の体の変化や、それに伴う精神的な変化も、とても近いものを感じた。動物的というか植物的というか・・・生きものだな、と。
植物を育てる時に、いくつかの種をまずはポットに撒いて、発芽させる。種にも古いもの、新しいけど小さいもの、傷が入っているもの、いろいろ個性がある。そこから発芽するもの、しないもの、発芽したけどいびつなもの、そこから日当たり、風通し、土の栄養状態、肥料、様々な環境の要素でどんな花を咲かせるか、実を実らせるか、まったく違う一生を終える。枯れていく様もまた、それぞれ個性的だ。生まれ持った種の個性から育っていく環境で、それぞれの個体の特徴というものが決まる。人間でいうところの身体性、だろうか。体の癖、性質、ひいては細胞ひとつひとつにも癖がある気がする。例えば、長距離走をしたあとの喘息、それが落ち着いていく経過。風邪をひいてから治るまでの過程。怪我をして、それが治っていく過程、などなど。40年近く生きているとさすがに自分の体が繰り返しがちな特徴というものがわかってくる。
お産も、ひとそれぞれ。いろんな過程を辿るが、ひとつの花が咲いて、受粉して、めしべが大きく膨らみ、実が形成されて、熟して実が落ちる。
その過程にお産はとてもよく似ている。

久々に文章を書いたのであっちこっちに話が飛んで・・・ホルモンバランスの乱れのせいです。あはは。
閑話休題。

別段、前述の「会いたくてももう会えない人問題」や、「生死についての疑問」を解決するわけでもなんでもないのだが、度々見返す記事がある。
毎日新聞の高橋源一郎さんの人生相談。会いたくてももう会えない人のことや生死についての考察が頭を離れない時に見返すと、なんだか気持ちがしゃんとするので、今年は幾度となくこの記事を引っ張り出しては読み返していた。

中絶した経験と向き合えず

あなたは、他の人が苦しまないようなことを前にしても苦しみます。
でも、それは、あなたが他の人たちよりもずっと敏感に、繊細に、世界に対している、ということです。
あなたは、他の人たちより、多く苦しむでしょう。けれども、それ故に、世界の素晴らしさと複雑さを、より多く感じることができるはずです。

苦しみを忘れない限り、あなたの生涯は他の誰よりも豊かになるでしょう。
そして、いつかきっと気づくはずです。それが、生まれなかった子供から、あなたへの贈り物であったと。

生まれた子に、「然(ぜん)」という名前をつけました。
発端はこの記事に出てくる「善」という言葉だったけど、いろいろあって、この「然」という字にしました。

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お兄ちゃんは今のところ赤ちゃん返りすることもなく、お兄ちゃん風を吹かせてお手伝いをがんばってくれたり、何より然くんが好きすぎてキスばっかりしています。そして二人目以降は気がぬけるというか楽になるとは巷でよく聞きますが・・・確かにすごく穏やかな気持ちで日々過ごしています。なによりおっぱいトラブルがなく、よく寝てくれるので。。。想くんの時はおっぱいが出ずにひもじい想いをさせて眠れない日々を過ごさせて申し訳なかったですが、想くんが頑張ってよく飲んでくれたおかげで今回はものすごく楽です。そして気が抜けすぎて臍の緒をなくしました・・・ええっと・・・実家がマンション住まいなのでビル風が強くて・・・飛ばされちゃったのかなぁ、なんて・・・。

無事に生まれてくれたことに心から感謝しつつ、大切に育てて行きたいと思います。

えんげきあそび ‘170626 ひかりとかげであそぼう!

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産休前の最後のえんげきあそびは、事前に製作の時間を設けてもらい、各自で平面の人形を作ってもらいました。
年長、年中さんは各自作りたいデザインを自分で決めて、可能であれば割りピンを使って可動部分を作り、カラーセロファンで色を足してもらいました。
年少さんは私の方であおむしの割りピン人形のフォーマットを作って渡しました。各自セロファンを貼って顔を描いてもらいました。
製作の段階でみんなだいぶテンションあげあげだったらしく、当日の朝は「さあ、どんな風に見えるのかな?」というわくわくした雰囲気にみちみちていました。

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まずは幕の裏のOHP横で、自分で自分が作った人形を動かしてみる。「これなーんだ?」「バナナ!」
光源に近づけてぼかしてみたり、フレームイン、フレームアウトを試してみたり。
ひとしきり影のしくみを堪能したら、どんな風に影が見えているのか、幕の前に回って自分で見てみる。

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自分が作ったものがこんな風に見える、とわかると一様にみんな嬉しそう。
年少さんは表現手段がフィジカルなので影を見るとその影と戯れて踊りだす子多数。

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とても美しい瞬間の連続でした。

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数日後、サプライズでこんなプレゼントが。

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ありがたいことです。
復帰後は生活発表会に向けて準備を始める予定です。
それまでえんげきあそびは少しお休みします。