劇場でもない
美術館でもない
小さな街角にある、小さな家具屋。
ちょっとしたパフォーマンスやコンサートやイベントが、
生活の一部を扱う『家具屋』で行われるその様は、
一見すると、奇妙に見えるかもしれません。
しかしそれは奇妙なことでしょうか?
特別な時にしか触れない特別な芸術も、もちろん素晴らしい。
だけど日々の生活の中にも、アートは存在します。
そんな瞬間に出逢うことで、世界がちょっとだけ違って見えたり、それまで知らなかった人と話したり。
むしろ私たちに必要なのは、日々の生活の中にひそむ
美しい瞬間に、どれだけ目を向けることができるか、
かもしれません。
※Divadlo(ヂバドロ)とはチェコ語で『劇場、演劇』という意味の言葉です。
今回は「じぶんにんぎょうをつくろう!」年中・年長児は割ピン割り箸バージョン、年少児は足が指バージョンの2パターンでやりました。
まずは年中・年長児の割ピン割り箸バージョン!
当日、カメラマン不在のため、肝心の制作風景は撮影できず・・・。残念至極。
厚みのある紙は幼稚園、保育園くらいのこどもは上手に切ることができないので、どうしても大人の手が必要になってきます。
今回は保育士の先生方が事前に写真を撮って、厚紙に貼って切り抜くところまで準備してくださいました。
こどもたちは割り箸をつけたり、ピンを通したり。
そして何がやりたかったかというと。。。
そうです、お芝居です。
あかずきんの舞台セットを持参して、そこでそれぞれの自分人形に簡易のかぶりものをつけて赤ずきん役とオオカミ役になってもらいます。
恥ずかしかったり、細かいセリフは言いづらかったりもしますが、二人一組になって順番に5回、6回と同じシーンをやるごとに、だんだん要領を得てきたのか、徐々にお芝居になっていっていました。
そしてお次は年少児向けの「じぶんにんぎょう、足が指バージョン」!これがまた良い出来でした!
興奮したこどもに割り箸がついた人形は不向きだとわかったので、指を足にできるパターンの人形に変更。
指をチョキにするのがポイントなのですが、まあ、できなくてもそれらしく見えるのでよしとします。
年少さんたちもあかずきんとオオカミの出会いのシーンをやってみました。
食べちゃうぞー! きゃー!と、自由に遊んでくれました。
自分の体と自分の声を使って「さあ!演技して!」と言われるのはなかなかハードル高いですが、じぶんにんぎょうなら大丈夫!だって、自分のようで自分でないし!人形だから!・・・でも、演技している人形の顔は自分、という何重にも演劇の魔法がかかったあそびでした。ごっこあそびが得意な彼らは一瞬でその世界に飛び込んで、自由に遊んでいました。
手先を使うことも、セリフを発することも、経験が全てだなぁと、今回強く思いました。
ほんのワンシーンだけ、くりかえし、くりかえし、みんなの耳元であかずきんとオオカミのせりふを囁きながら、回を重ねるごとにみんなが要領を得ていく様はとても興味深いものでした。年長のある男の子は、「ぼくはここから登場する!」と、違うパターンを提案してみたり。いつもは声の大きな女の子が赤ずきんがおびえている様を演じているのか妙に小さな声でせりふを言っていたり。その発想力たるや。宝の山に見えました。ちょっと感動的でした。この小さな演劇体験が積み重なっていくといいなぁと思いました。
8/1に「イジーとまぬけな悪魔」を上演させていただきました。
当初、北九大の芝生広場を会場にしようと計画していましたが、猛暑のあおりを受けて、室内での上演となりました。
外は無数の蝉の大合唱と息苦しくなるほどの気温。室内に変更していただけて、お客様も私も物語の世界に集中することができました。
夏休み中ということもあって小学生のお客様も多数いたのですが、物語が始まるとぐっと世界に集中してくれました。
いつものようにマイクは外れるわ人形はふらつくわ伴奏は間違うわ・・・あたふた進む物語に、いいタイミングでチャチャを入れてくれて、
かつ集中は最後まで切らさない。
そして終わった後は
最高の笑顔でした。
今回の上演には、打ち合わせでわざわざ仕事で来日中だった舞台美術家の林由未さんが同行してくれて、写真撮影や舞台の仕込みなどを手伝ってくれたのですが。
上演後、こどもたちの興味が尽きず、いつまでも人形をいじりつづけるのを心配して、容赦なく人形を片付けていたのが印象的でした。
さすが美術家。人形への愛が深いです。
元を辿れば、この「イジーとまぬけな悪魔」が誕生したのは、この作品の人形を制作してくれた、ヤロスラフ・ドレジャルさんとのご縁を林さんが繋いでくれたことから始まりました。私がチェコに居た時にも何度かお会いしていたドレジャルさんは、とにかく優しい印象で、ゆっくりはっきり喋ってくれて・・・うちの父と同年代なのに、「ザ・チェコのおじいちゃん」という感じで(失礼)とても親しみやすいキャラクターでした。すごい人なんですけどね。名だたる劇団の人形制作を長くやっていたり、長いこと大学で指導していたり・・・そんな方が私に人形を作ってくれるなら!!とえいやっ!と芝居を作ったいきさつがあります。
林さんには間に立ってもらうだけでなく、小道具などでも協力をしてもらいました。初演から2年の時を経てようやく今回、林さんには見てもらえました。ドレジャルさんに見てもらうのはなかなか難しいかもしれませんが、いつか見てもらえるように、引き続きブラシュアップして行こうと思いました。
ご来場いただいたみなさま、関係者のみなさま、ありがとうございました。
また11月に北九大を会場にして「あかずきん」を上演する予定です。11月はひょっとしたら秋口で、外で上演するのも気持ちいいかもしれませんね(予想)。
またお会いできるのを楽しみにしています。
「イジーとまぬけな悪魔」久しぶりに北九州で上演します。
北九大で活動しているハロハロカフェにお声がけいただいての上演なので、一般入場はできないのですが、素敵なチラシを作っていただいたのでご紹介させていただきます。
ブログでは情報を出していなかったのですが、先日15日は中津の野外イベントでの上演でした。
いやぁ・・・暑かったですね。
ご覧いただいているお客様たちにとっても、なかなか過酷な状況だったなと思います。
8/1の北九大での上演も芝生広場で・・・と計画していたのですが、状況によってはお借りしている教室での上演になる可能性があります。
お客様が集中して物語の世界を楽しめる環境を整えるのも大切なことだと思います。事故のないように準備を進めています。
幸い、今回は運営してくださっている方々とのコミュニケーションがしっかりとれるので、変更がある場合もスムーズに対応できそうなので、安心です。
楽しい時間になるといいなぁと思っています。
それにしても。これまでに経験したことのないくらいの暑さ。
皆様も、充分に注意してお過ごしください。
年少組えんげきあそび6月はかげえシアター ティッシュのはこ、というのをやりました。
ひかりと影。もう、永遠に遊べるくらい多面的に掘り下げられるテーマだと思います。
シーツをやカーテンなどをスクリーンにして、からだいっぱいを使った影絵も楽しいのですが、今回は身近な素材だけでできる、ミニマムな影絵あそびができないかなぁと考えました。
ミニマムにすると影絵素材が小さくなるので、影絵人形をこどもたちに作ってもらうことは難しくなりますが、その分、別の形で遊べるかもしれないと思い、とりあえず作ってみました。
ティッシュのはこが劇場になります、という身近さ。影絵人形たちはいらなくなった黒めの紙袋を使って作りました。
と、ぐうの音も出ないほどどこにでもある素材だけを使いました。
さあ、じゃあ一緒にやってみよう!
いつもはいきいき身体のおもむくまま、からだいっぱいで遊ぶことが大好きな年少児たちですが、照明を落とした部屋で、小さな光る箱の世界にすっかり魅了されたのか、とても集中した手つきで人形を動かしていました。繊細な手つき。惚れ惚れしました。すごい。
人形を動かしながら自分でおはなしを語り始めるこどももいて、おもしろかったので、そのまま語ってもらったらなんだか全然違う話になっていってさらに面白かったです。いいぞ!あそべあそべ!
昨年来、影絵をするときは舞台に白いスクリーンを吊って、光源のライトやOHPを持ち込んで・・・とやっていたのですが。
もちろん、今年も後ほどやりますが、そうすると、私がいる時しか影絵あそびができないなぁと思いました。
私がいなくても、特別な道具の必要がなく、気軽に、日常的にえんげきあそびが近くにあるといいなぁと思って、やってみました。
かげはティッシュの箱を飛び出して、みんなの体に映ったり、壁やカーテンに映ったり。
そうするとテンション上がりすぎて大騒ぎになって誰かが誰かとぶつかって、危なかった。
部屋が暗いので暴れると危険です。注意しましょう。
ご安全に!またあそぼう!
新作人形劇のご案内です。
2018年10月に新作人形劇「きんいろの髪のお姫さま」を北九州市と大分県宇佐市で上演することになりました。
「よだか」「金のさかな」でご一緒した、チェコ人演出家のゾヤ・ミコトバーさんと舞台美術家の林由未さんと、再び新作を制作できるチャンスに恵まれました。
今回はチェコに古くから伝わる民話を題材に選びました。
私がチェコに留学したのが2009年。「よだか」を作ったのは2010年。「金のさかな」は2012年。その後、「あかずきん」「イジーとまぬけな悪魔」「てぶくろ」などを制作して来ましたが、ゾヤさんも交えて3人でまた仕事ができるのは6年ぶり。30代はめまぐるしく環境が変わって、家族が増えたり、生活が変わった時代でしたが、それでも、作り続けて来られたことは、ひとえに、周りの支えあってのことだと思います。そして、30代最後の年に、またこうして新たな挑戦の場を与えていただけたことに、ちょっとゾクゾクしてます。
打ち合わせをしていても、ああしたいこうしたい、これにチャレンジしたい、やっぱりこっちがいいんじゃないか。行き詰まったり、つつきあったり、発見したり。話が尽きないのは幸せなことだと思います。こちらのブログでも、制作の状況など、ご紹介して行こうと思います。
10月のプレミアではチェコから演出家のゾヤさんと美術家の林さんを宇佐市にお招きして、新作「きんいろの髪のお姫さま」と「よだか」の2作品を上演する予定です。また、上演の際には並行して林由未さんの人形の作品展も開催する予定です。こちらも是非お楽しみいただければと思います。
年明け以降、他の地域への上演も計画しています。
新たに生まれる作品が、また多くの人に愛されることを心から祈りつつ。
劇場でたくさんの笑顔に会えることを心から楽しみにしています。
通りすがる日田彦山線にトーンチャイムの音を飛ばしています。
5月の年中、年長組えんげきあそびは「音とあそぼう!」でした。
今月は音に関することをやろうと、あれこれ準備して段階を踏んだゲームを考えて・・・と悶々準備していった大人であるところの私ですが。
昨年の生活発表会でちらりとみかけたトーンチャイム。
初めて触る子が多く、そしてあまりに彼らの感覚にフィットしたのか、渡すなり鳴らしながら野原を走り始めたので、もうそのまま走ってもらいました。
「一緒に鳴らそう!」
とか。
「今度は木に聞かせてあげると!」
とか。
「虫に聞かせる!」
とか。
「電車に届け!」
とか。
私が考えてきたことのなんてつまらないことか!
と、早々に諦めて彼らが思いつくままに遊んでもらいました。
かないません。参りました。
年少組のえんげきあそび。あいにくの雨。4月はからだをめいっぱい動かして躍動的に遊んだので、今回は少し体を落ち着けて、感覚をとぎすますあそびを。
窓を開けて、耳を澄ます。
何が聞こえる?
電車の音、バスの音、鳥の鳴き声・・・残念ながらその瞬間、雨は止んでいたので、私が連れてきた「雨音」を聞かせてあげよう。
長い紙の筒に釘をらせん状に打ったもの。中を見てみる。釘がびっしり!
今回はお米、ビーズ、小石の3種類を持ってきたので、まずはそれらをお椀に移す。そこでもとてもきれいな音がする。耳を澄ます。
ひとりずつ、雨音のもとになる粒を触ってみる。どんな感触?つぶつぶ!ぶちゅぶちゅ!痛い!
敏感だなあ、とこちらが感心します。
じっくり触れてもらって、感じたことを自由に発言して、だいたい全然違う話が始まるのでおもしろいです。
音の粒を中に入れて・・・
ひとりずつ、雨音を鳴らしてみました。
やっぱり、年少さんを年長、年中さんたちとクラスを分けてよかったなぁと思いました。
年中、年長さんとは別の生き物、と言っても良いほど、感覚的に生きているので、今回のような触る、とか聴く、というワークの場合、反応がとってもビビッドで、いきいきとしてたのが印象的でした。
慎重につぶつぶを扱う子、大胆にざーっとする子、でもその指先はとても一生懸命な感じで。
おもしろいあそびでした。
前年度に引き続き、2018年度も旭ヶ丘保育園でのえんげきあそびが始まりました。
今年度は年長、年中児のクラスと、年少児のクラス、2クラスを微妙に内容を変えてチャレンジしてみることになりました。
昨日は年長、年中児の初回。ということで、おなじみの「かぜとあそぼう!」をやりました。
今年はテーマの「風」にぴったりな、「かぜのかみとこども」という民話の紙芝居を持って行きました。
南風のあんにゃ(お兄さん)にまたがって、梨や柿の実を食べに行った子供達は、あんにゃが先に帰ってしまったので、帰れなくなってしまって・・・
というおはなし。「あんにゃ、こわい!!!」・・・置いてけぼりは怖いですよね。わかります。
とりあえず、大きなポリシートで手にぐっと来る春の風を感じてもらって、そのままひとしきりおにごっこしました。
あんにゃの頭になるといいなぁと思って、大きな枝を持って行きました。顔っぽくしといた部分に自由に飾り付けをお願いしました。
真剣です。いつまででもやってくれそうだったので、もっとやってもらえばよかったですね。
中途半端なところで止めてしまったせいか、こんなだるーんとした顔になってしまいました。。。
おかげで私もこんな顔になってしまいました。
気を取り直して、練り歩きました。
手のコントローラーとして棒もつけました。交代で南風のあんにゃを動かして、春の大行進。
野っ原最高!!!春を満喫しました!
体全部で春を体感して遊びました。
次回は年少児と春風で遊ぼうと思います。
今年度最後のえんげきあそびは「つくってあそぼう あやつりにんぎょう」をやりました。
みなさんご存知、美術家の林由未さんの絵本「つくってあそぼう あやつりにんぎょう」の付録に付いている操り人形の絵を使って、操り人形を作って遊びます。
事前に絵を厚紙に貼って、切り取るところまでは作業を進めておいてくれたのはとても助かりました。
糸あやつりは難しかったなぁ〜!!先生方のサポートのおかげでなんとかかんとか。。。
ダンボール劇場は僭越ながらわたくしめが作りました。
みんなテンション振り切れてるので写真がブレます。最終的には糸あやつり人形はからまりまくるわ、劇場ごとどこか遠くへ運ばれて、それをわらわら追いかける人の波が見えました。。。
こんにちわ!こんにちわ!としきりに挨拶をかわすのでブレます〜。止まってはくれません〜。
それぞれの人形の操作とか、動かし方なんかは軽くお伝えしたのだけど、楽しいところだけチョイスしてあとは受け流していたな、みんな。
もっと遊び込むと一歩踏み込んで、動かし方だのお話の世界だのについて目が向くようになるかもしれないけど、今日はもうとにかく人形を動かすことに夢中!といった感じ。
製作については反省点多し。ひもや糸を結ぶ、という活動は日々の生活の中でいかにそういう活動をしてるかということと、あと、それぞれの手先の器用さにも関わるので、限られた時間の中でやるのは工夫が必要だったな、と。でもちゃんと仕上がれば複雑な動きもできるので、初めは簡単な人形から作ってみて、徐々に複雑なものに挑戦していくってのもありかなと思いました。
いやぁ、使える!この絵本!(宣伝です!きっぱり!)
福音館書店のかがくのとも2017年10月号のつくってあそぼうあやつりにんぎょう
2017年度のえんげきあそびはこれにておしまいです。今年度は私の産休も入ったのに、こんなにたくさんのえんげきあそびを、こんなに素敵な友達とたくさんできたこと、心から感謝です。
生活の中で演劇に触れる時間をこどもたちに提供できれば、と思って始めたえんげきあそび。音や、光を使ってあそんだり、風を感じる、とか、体を動かす、など、色々一緒に遊ばせていただきました。
もう少しうまくファシリテートできるようにはした方がいいかとは思いますが、「教える」という形にはなるべくならないようにしたいなぁと常々模索しています。どうやったらこどもたちを刺激できるだろう。どうやったらこの子のやる気スイッチを押せるだろう、どうやったらこの子の心の扉をノックできるだろう。そのコミュニケーションの連続だった気がします。正解もないし、目に見える効果や役に立つ何かが手に入るわけでもないのですが、面白いあそびを発見した時のこどもたちの目の輝きは、それこそが人間の可能性だと確信する程です。発展途上のこの挑戦に、場を提供してくれた、旭ヶ丘保育園のみなさま、ご協力くださった先生方、そしてなにより最高の友達みんなに、心から感謝を!ありがとうございました。
来年度も引き続き、あそぼう!!
楽しみにしています。
2月24日に、旭ヶ丘保育園で生活発表会がありました。
えんげきあそびの枠で10月から取り組んできた「てぶくろ」。遂に本番の日を迎えました。
作品を選ぶところから、配役、細かいせりふなど、なるべくこどもたちから出てきたものを拾いたいと、担任の先生とみんなと一緒に作り上げてきた作品でした。本番までは当日を楽しみにしている方にネタバレになってしまうこともあり、写真は出せませんでした。そして本番当日は私も演奏で作品に加わっていたし、先生方は手一杯、圭くんは出張中で、なんと本番の写真は一枚も撮れず・・・無念すぎる。
なので、本番直前のプリセットの写真だけ。
舞台奥の幕を開けて舞台裏からの写真。
本番では取り入れられませんでしたが、不織布を雪に見立てて、ふわふわさせてみんなで遊んだ時間もありました。
保育士の先生というのは、本当ーーーーーに、偉大です。
私が他の仕事に気を取られている一瞬のうちにこれだけの衣装、小道具を全て作ってしまいました。本来、保育士の先生がたのこういった仕事を少しでもお手伝いできたらと思っていたのですが、あまりの優秀さに・・・圧巻。
私の一人芝居用の影絵素材も使ったり。
トーンチャイム演奏隊も驚異の集中力でがんばりました。
本当に本当に貴重な体験でした。
自分の作劇でさえもあっちにぶつかり、こっちにぶつかりしながら、目をつぶって粘土をこねくり回すような時間を経てようやく作り上げるような私が、こどもたちと一緒に作品を作る・・・間違いなくカオスが立ち現れることでしょう、と我ながら思っていたのですが、担任の先生の涙ににじんだ目が私を奮い立たせてくれました。
芝居が始まったらもう止められないということ。一緒に舞台に立っている共演者と気持ちを合わせること。敏感にものを、見て、聞いて、感じること。
子供たちとお芝居について話す時、口走ったあとに自分がハッとするような瞬間ばかりでした。学び直す、というか、生き直す、というか。。。
彼らと過ごす時間は、自分と向き合う時間だな、と。彼らとともにこの作品を体験することで一緒にたくさんの問いを乗り越える時間でした。むしろ彼らの中にははじめから、天然の正解が無数に存在していて、その扉をひとつずつノックすると「ほらやっぱりね!みんな、すごいよ!」っていう瞬間の連続でした。
彼らが舞台に立つその自然な姿は、いつも、どの現場でも胸打たれるのですが、かける言葉なんか何も必要としてない。彼らそれぞれが、自分らしくその場に存在するだけで、そしてただただひたすら懸命にその場で自分の役割を果たそうとするだけで、もうこれ以上ないほどエネルギッシュに輝いて見える。エネルギーの塊。生命そのもの。『指導』なんておこがましいことはそもそもできませんが、私がやれることといったら、彼らがその世界に夢中になれるように、突っ走れるように、準備をしてあげることだけだなと。
こんなことしたいな、あんな風にしたいな、と想像することを、いろんな人とすり合わせて行く内に、いつの間にか自分が当初言っていたアイデアは溶けて見えなくなっているけど、だけどその結果はとても愛しい。そんな瞬間をまた垣間見ることができたらこれ幸い。
底知れぬパワーの渦みたいな共演者のみんな、先生、お疲れ様でした。
心から感謝を込めて。
さあ、3月のえんげきあそびは、林由未女史の「つくってあそぼうあやつりにんぎょう」で遊びます!